骨粗鬆症にピラティスエクササイズは効果的なのか

骨粗鬆症を予防するためには、カルシウムの摂取・日光を浴びる・そしてウォーキングや筋力トレーニングによって骨に刺激を加えることが推奨されていることは、みなさんご存知かと思います。では、ピラティスは骨粗鬆症の方にとってどうなの?と気になる方も多いはず。
ピラティスは適切に行えば骨を強化でき、骨折を予防するための基盤を作れます。でも実際、ピラティスは脊柱に負担をかけるためエクササイズも多く、骨粗鬆症の方には安全ではないものもあります。その点を理解した上で、ピラティスをすることはお勧めできます。

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは

骨の代謝バランスが崩れ、骨形成よりも骨破壊が上回る状態が続き、骨がもろくなった状態のこと

骨の代謝バランスが崩れ、もろくなった状態のことです。
骨は骨芽細胞によって骨形成されると同時に破骨細胞によって骨吸収され、常に新しく作り直されるという新陳代謝(リモデリング)を繰り返しています。通常は骨吸収と新たな骨形成のバランスが保たれていますが、これが崩れて骨吸収が上回った状態が続くと骨量が減少してしまいます。その結果骨がもろくなり、容易に骨折するような状態になるのが、骨粗鬆症です。

原因としては、骨を形成するカルシウムやマグネシウムの不足や、カルシウムの吸収に必要なビタミンDなどのビタミンがバランスよくとれていないことが挙げられます。また適度な運動によって骨に一定以上の負荷をかけないと骨形成におけるカルシウムの利用効率が悪くなるため、運動不足も骨粗鬆症の要因となります。

一般に高齢女性の発症リスクが高くなっていますが、それは閉経後、骨芽細胞を活発にする女性ホルモンである「エストロゲン」が激減するためです。大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲンに似た働きをしてエストロゲンの減少を補うため、骨粗鬆症の予防・改善に効果があると考えられています。 eヘルスネットより引用

骨粗鬆症に対してピラティスは有効か?

ピラティスはドイツ人のジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス氏によって開発されたプログラムです。
このプログラム=ピラティスでは、背骨を動かすエクササイズが多く含まれていたり、パワーハウスという身体の中心を意識して行うこと、心と身体精神を調和させて鍛えていくことで、筋肉のバランス力やコントロール能力を高め、安定した身体作りが出来ます。

ピラティスエクササイズを正しく行えば、骨が弱くなった方に次のような効果があります。
・身体のバランス能力が高まり、転倒での骨折リスクを減らすことが出来ます。
・筋力や筋量を増やすことによって、骨を支えてくれたり、自分の弱い部位を選択的にトレーニングすることが出来ます。
・さまざまな方向から刺激を入れることが出来て、骨密度を強化できます。

ただ条件として、2点あります。
①マンツーマンで指導を受けること
②医療系の知識があるトレーナーを選ぶこと(医療系国家資格を保有しているなど)


①に関しての補足ですが、同じピラティスでもグループレッスンはお勧め出来ません。1人1人に注意深く指導が行き届かない点、骨粗鬆症に悪影響のエクササイズも普通に出てくる。この点で、マンツーマンで自分の身体に合わせてエクササイズを決めていただく必要があります。

②に対しての補足は、今は身体の知識がなくてもピラティスの資格を持ち、現場に立っている方も多くおられます。エクササイズや動きでどんなリスクがあるのか効果があるのかをしっかりと理解しているトレーナーから受講することを推奨します。こちらは医療系の疾患以外でも同じことが言えます。

リフォーマーでのピラティスランジ

骨粗鬆症の方に危険なエクササイズ、安全なエクササイズ

ピラティスの動きには、脊柱を丸める動作がたくさん出てきますが、例えば仰向けで腹筋エクササイズは危険なエクササイズに該当します。あと背骨を捻る動作なども背骨にはストレスがかかるので、危険が伴います。

骨粗鬆症での骨折部位の中で、大腿骨近位端があります。大腿骨が骨折すると多くは人工骨頭になり、QOLの低下にも繋がります。このことから股関節周りの強化はとても重要になってきます。

お勧めピラティスエクササイズ
ランジ
サイドスプリット
サイドライイングエクササイズ
簡易的なプランク
プッシュアップ
など

危険なピラティスエクササイズ
ロールアップ
ロールオーバー
コークスクリュー
ソウ
ローリングシリーズ
など

ちなみに閉経後骨粗鬆症女性に対してピラティスは有効なのかというエビデンスは出ております。成果があるとのことです。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26406222/

まとめ

ピラティスは元々リハビリから始まっていることから、安全にそして効果的に身体を整えていくことが出来るエクササイズメソッドです。しかし近年のピラティスブームで無茶な指導やリスクヘッジ出来ていない指導も目立ち、ピラティスで怪我をいた、痛めたと言われる方も増えてきています。それは本当に残念なことで、1人の指導がピラティス全体に悪影響となってしまいます。
なので、お客様にもしっかりと指導者選びをして頂きたく思います。キラキラしているピラティスも良いですが、指導歴やどれだけお客様本意で、ニーズに対してアプローチしてくれるか、親身に考えてくれるか、そんな指導者をぜひ見つけてください。
私たちPilates Synergyはそういう指導者のあり方を追求し続けます。

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  • この記事を書いた人

杉 直樹

株式会社SPARX代表取締役。Pilates Synergy代表。柔道整復師。24歳で起業し、ピラティス指導歴は15年。今までに400名以上ピラティスインスラクターを輩出し、トレーナーオブザイヤー審査員特別賞受賞にも輝く。「身体に新たな可能性を」を理念にスタジオを経営している。JPSA認定ベーシックプロスピーカー。(一社)分子整合医学美容食育協会プロフェッショナルファスティングマイスター

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