ロコモティブシンドロームが進行する理由|筋力・骨密度・バランス機能の低下メカニズムとマシンピラティスの根本予防を専門家解説

「最近、階段の上り下りが辛くなってきた」「少し長く歩くと膝や腰が痛くなる」「段差でつまずくことが増えた気がする」——60代・70代のこうした「身体の変化」を「年齢のせいだから仕方ない」と受け入れていませんか。

しかしそれは、ロコモティブシンドローム(運動器症候群) という、今すぐ対処できる状態のサインかもしれません。日本整形外科学会の推計では、ロコモの該当者は日本全国で約4,700万人——つまり60歳以上の大多数が何らかの段階に達しているとされています。そして、ロコモは「老化の結果」ではなく「運動器の機能低下という、適切なアプローチで予防・改善できる問題」です。

欧米のスポーツ医学・老年医学の分野では、低強度の荷重刺激を伴う運動療法——特にマシンピラティスのようなスプリング負荷を活用したアプローチ——が、筋量・骨密度・バランス機能・動作パターンを同時に維持・向上させる手段として注目されています。しかし日本語でマシンピラティスとロコモ予防の関係を解剖学的・医学的に解説したコンテンツはいまだにほとんど存在しません。

この記事では、柔道整復師として運動器疾患と動作分析の視点から、ロコモティブシンドロームの正確なメカニズム・5段階の進行・マシンピラティスによる根本的な予防アプローチを体系的に解説します。

📋 この記事でわかること

  • ロコモティブシンドロームの正確な定義と、日本整形外科学会による5段階の分類
  • サルコペニア・骨粗鬆症・変形性関節症がロコモをどう加速させるかの連鎖メカニズム
  • 「筋力低下」だけでなく「動作パターンの崩れ」がロコモを進行させる解剖学的根拠
  • なぜウォーキング・ラジオ体操だけではロコモ予防に不十分なのか
  • マシンピラティスが低インパクト荷重刺激・筋神経再教育・バランス機能向上に有効な理由
  • Pilates Synergyで60〜70代の方に行う具体的なエクサイズ5種の手順とポイント
  • 「自分はロコモかも?」を確認するセルフチェックリスト12項目
  • よくある質問(FAQ)7問への専門家回答

1. ロコモティブシンドロームとは何か

定義

ロコモティブシンドローム(Locomotive Syndrome:運動器症候群)とは、骨・筋肉・関節・椎間板・神経などの運動器の機能が低下し、立つ・歩く・座るといった移動能力が衰えた状態、またはその危険性が高い状態のことです。 2007年に日本整形外科学会が提唱した日本発の概念であり、要介護・寝たきりになる最大のリスク要因として位置づけられています。

「ロコモ」という名称は「ローコモーション(Locomotion:移動・運動)」に由来し、身体の「移動する力」が衰えることへの警鐘を込めた概念です

ロコモ・サルコペニア・フレイルの違い

シニアの身体機能低下を語るうえで混同されやすい3つの概念を整理します。

概念定義主な対象評価軸
ロコモティブシンドローム運動器全体の機能低下による移動能力の衰え骨・筋肉・関節・椎間板・神経移動能力・バランス・下肢筋力
サルコペニア加齢による骨格筋量の減少と筋力低下骨格筋(筋肉量)筋肉量・握力・歩行速度
フレイル(虚弱)身体・精神・社会的な脆弱性の総合状態身体・認知・社会機能体重減少・疲労感・活動量・歩行速度・握力

この3つは互いに深く重なり合っており、ロコモはサルコペニアとフレイルの「身体的側面の上流概念」 として捉えることができます。ロコモが進行するとサルコペニアも悪化し、フレイルへの移行リスクが高まります。

ロコモの5段階分類(2024年改訂版)

日本整形外科学会は2024年にロコモの重症度分類を更新し、5段階で評価するシステムを確立しています。

段階状態身体の目安
ロコモ度1移動能力の低下が始まっている片脚立ちが15秒未満、または2ステップ値が1.3未満
ロコモ度2移動能力の低下が進行している片脚立ちが5秒未満、または2ステップ値が1.1未満
ロコモ度3移動能力の低下が著しい立ち上がりテスト40cmで不可、または2ステップ値が0.9未満
ロコモ度4社会参加・自立が制限される水準外出頻度の低下・日常生活の支障が出始める
ロコモ度5要支援・要介護レベル日常的な介助が必要

ロコモ度1の段階、すなわち「移動能力の低下が始まっている」時点が最も介入効果が高い段階です。 この段階で適切な運動療法を開始することで、ロコモ度2・3への進行を大幅に遅らせることが可能です。

💬 柔道整復師・杉直樹より

私が特に強調したいのは「ロコモは老化の結果ではない」という点です。運動器の機能低下は、適切な刺激を与え続けることで相当程度まで予防・改善できることが多くの研究で示されています。「70代だから仕方ない」という諦めは最も危険な思い込みです。Pilates Synergyには70代・80代の方が通われており、継続的なマシンピラティスによって歩行・バランス・姿勢が改善した事例を多く経験しています。早期介入ほど効果が出やすいことは、臨床経験からも確信しています。


2. ロコモが重要な理由——進行メカニズムと対応できる症状・問題

ロコモを加速させる3つの運動器疾患

ロコモは単一の原因ではなく、以下の3つの運動器疾患が複合的に絡み合って進行します。

① サルコペニア(筋肉量・筋力の低下) 骨格筋量は40代から年間約1%の速度で減少し始め、70代以降はその速度が加速します。特に抗重力筋(大腿四頭筋・大殿筋・脊柱起立筋・腓腹筋など)の低下が先行します。筋力が低下すると関節の動的安定性が失われ、関節への衝撃吸収能力が低下——これが変形性関節症の進行を促進します。

② 骨粗鬆症(骨密度の低下) 閉経後の女性は特に、エストロゲン減少により骨密度が急速に低下します。骨粗鬆症が進行すると椎体圧迫骨折・大腿骨頸部骨折のリスクが増大し、これらの骨折は要介護への最大の入口になります。日本の骨粗鬆症患者数は約1,280万人と推計されており、その80%以上が女性です。

③ 変形性関節症(関節軟骨の摩耗・関節機能低下) 膝関節・股関節・腰椎の変形性関節症は、痛みによる活動量の低下→筋力のさらなる低下→関節不安定性の増大という悪循環を生み出します。この悪循環を断ち切るには、「痛いから安静にする」という受動的対処ではなく、痛みをコントロールしながら筋力・動作を積極的に維持する能動的アプローチが必要です。

ロコモ進行の全体連鎖

段階構造的変化生じる問題
抗重力筋の筋量・筋力低下起立・歩行時の関節への衝撃吸収能力の低下
姿勢パターンの崩れ(重心の前方移動・胸椎後弯増強)転倒リスクの増大、体幹への代償負担の増加
固有受容感覚(バランス感覚)の低下つまずき・ふらつき・転倒の増加
痛み・不安による活動量の低下さらなる筋萎縮・骨密度低下の加速
変形性関節症・骨粗鬆症の進行日常生活動作(ADL)の制限拡大
外出意欲・社会参加の低下認知機能低下・フレイルへの移行

この連鎖で重要なのが②の「姿勢パターンの崩れ」です。筋力だけを鍛えても、姿勢パターン——つまり重心線が各関節を通る位置関係——が崩れたままでは、筋肉をいくら鍛えても正しく機能させることができません。ロコモ予防における最大の盲点は「筋力の量」ではなく「筋肉の使い方・動作パターン」にあると、柔道整復師として臨床経験から確信しています。

ロコモが引き起こす・悪化させる主な問題

① 転倒・骨折リスクの増大 65歳以上の転倒率は年間約30%という報告があります。転倒による大腿骨頸部骨折は、手術が必要となるケースが多く、術後の長期安静によるサルコペニアの急激な悪化を招きます。転倒の根本的なリスク要因は「バランス機能の低下」と「つまずきに対する素早い反応能力(反応性バランス)の低下」であり、これは筋力だけでなく神経筋制御の問題でもあります。

② 変形性膝関節症・変形性股関節症の悪化 日本の変形性膝関節症の有病者数は推計約2,530万人。その進行を抑えるには、大腿四頭筋・ハムストリングス・股関節周囲筋の筋力と柔軟性を維持しながら、関節への不必要な衝撃を減らす動作パターンを習得することが重要です。

変形性股関節症の保存療法アプローチについては以下の記事で詳しく解説しています。 ▶ 変形性股関節症とマシンピラティス——「軟骨は戻らない」からこそ筋肉で守る保存療法アプローチ

③ 腰部脊柱管狭窄症・腰椎変性疾患の症状悪化 胸椎後弯の増強と腰椎前弯の消失(いわゆる「フラットバック」)が習慣化すると、椎間板・椎間関節への不均等な荷重が継続し、腰部脊柱管狭窄症や腰椎すべり症の進行リスクが高まります。体幹深層筋(多裂筋・腹横筋)の機能回復が腰部の脊椎安定に直結します。

④ 歩行能力・外出意欲の低下と認知機能への影響 歩行速度の低下(毎秒1.0m未満)は認知機能低下・死亡リスク増大の独立した予測因子として確立されています。歩くことを避けるようになると社会参加が減少し、認知症のリスクも高まります。「歩行能力の維持」はQOL(生活の質)を守る根幹です。

注意事項 骨粗鬆症・変形性関節症・脊柱管狭窄症など運動器疾患の診断を受けている方は、運動を開始する前に必ず整形外科医の許可を得てください。本記事の内容は医師の診断・治療の代替を目的とするものではありません。


3. マシンピラティスがロコモ予防に効果的な理由とエクサイズ

なぜウォーキングやラジオ体操だけでは不十分なのか

アプローチ有効な側面限界・不足する側面
ウォーキング心肺機能・骨密度(低〜中程度の荷重刺激)・気分改善動作パターンの問題を修正しながら歩けないため、誤った歩行パターンを強化するリスクがある
ラジオ体操関節可動域の維持・血流促進筋力・神経筋制御・バランス機能の向上には刺激量が不足
水中運動関節への負荷軽減・安全な筋活動荷重刺激がないため骨密度維持効果が低い。水中では体幹の固有受容感覚が陸上と異なる
筋トレ(マシン・フリーウェイト)筋力向上に有効不良姿勢・動作パターンのまま負荷をかけると代償動作が固定化するリスク
マシンピラティス低インパクト荷重刺激・動作パターンの同時修正・神経筋再教育・バランス機能向上・体幹深層筋の再活性化専門家の指導環境が必要

ロコモ予防に必要な要素は「①筋力」「②骨密度(荷重刺激)」「③バランス機能・固有受容感覚」「④正しい動作パターン」の4つですが、マシンピラティスだけがこの4要素に同時にアプローチできます。

マシンピラティスが60〜70代に特に適している3つの理由

理由①:スプリングによる「ちょうどいい荷重刺激」の調節 骨密度を維持・改善するには荷重刺激が必要ですが、骨粗鬆症や関節症がある場合、過度な衝撃は逆効果になります。マシンピラティスのスプリング負荷は段階的に調節できるため、「骨に必要な刺激を与えつつ、関節への過負荷を避ける」という精密なバランスを実現できます。

理由②:「倒れない身体」を作る固有受容感覚の再教育 転倒予防に最も重要なのは、不安定な状況で瞬時に姿勢を修正する能力——反応性バランス(Reactive Balance) です。マシンピラティスのキャリッジ(動く台)上での動作は、常に固有受容感覚への刺激を与え続けるため、転倒を防ぐ神経系の反応速度を維持・向上させます。

理由③:体幹深層筋と抗重力筋を「正しい順序で」活性化できる 単純な筋力トレーニングでは表層の大きな筋肉を鍛えることはできますが、深層の安定筋(多裂筋・腹横筋・骨盤底筋群)は鍛えにくいです。マシンピラティスはこれら深層筋と表層筋が正しい順序で協働する「神経筋コーディネーション」を再学習させます。これは日常動作の安全性に直結する能力です。

💬 柔道整復師・杉直樹より

Pilates Synergyの70代のお客様が最もよく変化を実感されるのは「歩くのが楽になった」「階段が怖くなくなった」という言葉です。筋力がついたというよりも「身体の使い方がわかってきた」という感覚の変化から始まります。ロコモ予防は「頑張って鍛える」ではなく「身体の正しい使い方を取り戻す」プロセスです。この視点が、マシンピラティスが他の運動と根本的に異なる点です。

禁忌・注意事項

以下に該当する方は、エクサイズ開始前に必ず医師または専門家に相談してください。

  • 骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折の既往がある方
  • 人工関節置換術後の方(可動域制限・禁忌肢位への注意が必要です)
  • 高度な脊柱管狭窄症・不安定性のある脊椎すべり症の診断を受けている方
  • 安静時の強い痛み・下肢へのしびれ・麻痺がある方
  • 未コントロールの高血圧・重篤な心疾患の方

エクサイズ①:リフォーマー|フットワーク(下肢抗重力筋の段階的活性化)

目的:大腿四頭筋・大殿筋・腓腹筋など抗重力筋群の筋力維持、膝・股関節のアライメント再教育 回数目安:10〜15回 × 2〜3セット(スプリング負荷は軽〜中程度から開始)

手順

  1. リフォーマーのキャリッジに仰向けになり、フットバーに両足の母趾球(ぼしきゅう)をつける
  2. 背骨をニュートラル(自然なカーブを保つ)に保ちながら、息を吸う
  3. 息を吐きながら両脚を伸ばしてキャリッジを押し出す——膝がつま先の真上を通るよう意識する
  4. 最大伸展位で1秒保持し、息を吸いながらゆっくり戻す

ポイント:「膝がつま先より内側に入らないこと」が最重要です。膝の内側への崩れ(ニーイン)は変形性膝関節症の直接の悪化要因です。最初はスプリングを軽くして正確なアライメントを習得することを優先します。


エクサイズ②:リフォーマー|ブリッジシリーズ(骨盤帯・体幹深層筋の再活性化)

目的:多裂筋・腹横筋・大殿筋・ハムストリングスの協働活性化、脊椎のセグメンタルモビリティ回復 回数目安:8〜10回 × 2セット

手順

  1. リフォーマーのキャリッジに仰向けになり、膝を立てて足裏をフラットに置く
  2. 息を吸い、吐きながら「骨盤底→腰椎→胸椎」の順に背骨を下から巻き上げるようにブリッジを作る
  3. 最上位で3秒保持——この位置で深呼吸を1回行い、体幹深層筋の活動を意識する
  4. 息を吐きながら「胸椎→腰椎→骨盤」の順にゆっくり降ろす

ポイント:「お尻を持ち上げる」のではなく「背骨を1椎ずつ丁寧に動かす」意識が重要です。この「分節的な背骨の動き」が失われているほど、日常の立ち上がり・歩行での重心移動がスムーズにできなくなっています。


エクサイズ③:リフォーマー|スタンディングサイドスプリット(側方バランス・股関節外転筋の強化)

目的:中殿筋・小殿筋の活性化、側方バランス機能の向上、歩行時の骨盤安定性の改善 回数目安:8〜10回 × 左右2セット

手順

  1. リフォーマーのフットプレートとキャリッジに1足ずつ乗り、肩幅程度に脚を開く
  2. 壁またはバーに手を軽く添えて安全を確保する
  3. 息を吐きながらキャリッジを横に押し出し、脚を側方へ広げる
  4. 息を吸いながら中殿筋を意識して脚を閉じる

ポイント:中殿筋は歩行中に片脚立ちになる瞬間(立脚相)に骨盤を水平に保つ最重要筋です。この筋が弱くなると「トレンデレンブルグ歩行」——体が横に揺れる歩き方——が生じ、腰椎・膝関節への側方応力が増大します。スピードよりも「正確な側方移動」を優先します。


エクサイズ④:キャデラック|レッグサークル with スプリングサポート(股関節可動域維持・神経筋コーディネーション)

目的:股関節の全方向可動域の維持、深層外旋六筋・腸腰筋の柔軟性と協調性の維持 回数目安:各方向5〜8回 × 2セット

手順

  1. キャデラックのマット上に仰向けになり、スプリングストラップに片脚をかける
  2. スプリングのサポートを活かしながら、股関節を「前→外→後→内」の順に円を描くように動かす
  3. 骨盤が動かないよう体幹を安定させたまま、股関節だけを動かすことを意識する
  4. 左右を交互に行い、左右差(可動域・硬さ)を確認する

ポイント:股関節の可動性は単に「柔軟性」の問題ではなく、深層の関節感覚(固有受容感覚)の問題でもあります。スプリングのサポートがある状態でゆっくり動かすことで、股関節の「感覚の精度」を高めることができます。この感覚の精度が歩行・階段・段差での転倒予防に直結します。


エクサイズ⑤:チェア|シーテッドスタンドアップ(立ち上がり動作の安全な再学習)

目的:椅子からの立ち上がり動作パターンの再学習、生活動作の自立維持 回数目安:8〜10回 × 2〜3セット

手順

  1. ピラティスチェアに座り、両手をハンドルに軽く添える
  2. 「股関節から前傾する」——背中を丸めず、骨盤を前傾させながら上体を少し前に傾ける
  3. 息を吐きながら大腿四頭筋・大殿筋を意識して立ち上がる——膝がつま先の方向に向かっているか確認
  4. 立位で2秒保持し、股関節から後傾させながらゆっくり座る

ポイント:「立ち上がれなくなること」は要介護への直接の入口です。多くの方が立ち上がり時に「膝に手をつく」「前のめりになる」「ふらつく」という代償動作を使っています。このエクサイズは、日常で毎日行われる立ち上がり動作を安全・効率的に行うための神経パターンを再学習させます。

マシンピラティスが「動作の再学習」という観点でロコモ予防・リハビリに有効である理由については以下の記事でも解説しています。 ▶ 70代女性・骨切り術後|1年のリハビリでも変わらなかった歩行がマシンピラティス10ヶ月で改善した理由


4. ウォーキング・筋トレ・水中運動・マシンピラティスの比較

ロコモ予防・シニアの運動療法として一般的に行われているアプローチと、マシンピラティスを多角的に比較します。

評価軸ウォーキングラジオ体操水中運動筋トレ(マシン)マシンピラティス
筋力向上
骨密度維持(荷重刺激)
バランス機能向上
動作パターンの修正
体幹深層筋の活性化
関節負荷の調節
個人の状態への対応
転倒リスク中(屋外環境依存)低(水中)低〜中

「どれが一番良いか」という絶対的な答えはなく、現在の身体の状態・ロコモの段階・関節疾患の有無によって最適な選択は異なります。ただし「4つの要素(筋力・骨密度・バランス・動作パターン)を同時に、かつ個人の状態に合わせて調節しながらアプローチできる」という点では、マシンピラティスは他の運動形式にはない特性を持っています。

姿勢パターン別の根本的なアプローチについては以下の記事もあわせてご参照ください。 ▶ 姿勢改善の4タイプと根本アプローチ——あなたの姿勢崩れはどのパターンか


5. こんな方に特におすすめ——セルフチェックリスト

以下は日本整形外科学会のロコモチェックと、柔道整復師としての臨床的視点を組み合わせたチェックリストです。

チェック項目関連する問題
□ 片脚立ちが15秒未満になってきたロコモ度1相当・バランス機能低下
□ 階段を上るとき手すりを使わないと不安大腿四頭筋・大殿筋の機能低下
□ 椅子から立ち上がるとき、膝や腰に手をつく立ち上がり動作パターンの崩れ・大腿四頭筋低下
□ 以前より歩くのが遅くなった・歩幅が小さくなった歩行能力低下・サルコペニアの徴候
□ 少し長く歩くと膝・股関節・腰が痛くなる変形性関節症・体幹機能低下による関節過負荷
□ つまずくことが増えてきた下肢の固有受容感覚・反応性バランスの低下
□ 背中が丸くなってきたと言われる胸椎後弯増強・抗重力筋の機能低下
□ 骨密度が低いと言われたことがある骨粗鬆症・ロコモ悪化リスクの増大
□ 1日の歩数が3,000歩以下になっている活動量低下によるサルコペニア加速
□ 転倒経験が1年以内にある反応性バランス・固有受容感覚の著しい低下
□ 「運動しなければ」と思いながら始められていない運動への心理的障壁・適切な環境の不足
□ 旅行・外出・趣味の活動が体力面で制限されてきたADL低下・社会参加制限の始まり

3項目以上に該当する方はロコモ度1以上の可能性があり、今すぐ運動療法を開始することが推奨されます。6項目以上に該当する方は、専門家の評価のもとで個別対応が必要なロコモ度2以上の可能性があります。まずは体験レッスンにて現状のアセスメントを受けることをおすすめします。


6. よくある質問(FAQ)

Q1. ロコモティブシンドロームとは何ですか?老化と何が違うのですか?

A. ロコモティブシンドロームとは、骨・筋肉・関節などの運動器の機能低下により移動能力が衰えた状態のことです。老化との違いは「予防・改善できるかどうか」にあります。老化そのものは止められませんが、運動器の機能低下は適切な運動刺激・栄養・生活習慣の改善によって大幅に遅らせ、場合によっては部分的に回復させることが可能です。「70代だから仕方ない」という諦めはロコモを加速させます。いつ始めても遅くなく、今が最も早いタイミングです。

Q2. 60〜70代がマシンピラティスを始めるのは遅いですか?怪我が心配です。

A. 遅くありません。マシンピラティスはスプリング負荷の調節により、筋力・体力・柔軟性が十分でない方でも安全に開始できます。むしろ「怪我が怖い」という方にこそ、関節への衝撃が少なく、専門家が個別に負荷を調節できるマシンピラティスが適しています。Pilates Synergyでは初回体験時に現在の運動器の状態・既往症・骨密度の状況などを詳しくお聞きし、安全を最優先にしたプログラムをご提案しています。70代・80代の方が継続されている実績があります。

Q3. 変形性膝関節症や股関節症があっても取り組めますか?

A. 多くの場合、整形外科医の許可があれば取り組めます。マシンピラティスは関節への衝撃が少なく、スプリングの負荷調節により患部への過負荷を避けながら周囲の筋肉を強化できます。実際に、変形性股関節症・変形性膝関節症の方が「痛みをコントロールしながら筋力と動作パターンを改善し、手術時期を遅らせた」または「手術後の機能回復を加速させた」という事例を多数経験しています。重要なのは「主治医との連携」です。

Q4. 骨粗鬆症がありますが、マシンピラティスはできますか?

A. 骨粗鬆症の方は注意が必要ですが、多くの場合は取り組めます。骨密度を維持・改善するには、骨に適度な荷重刺激を与えることが重要です。マシンピラティスのスプリング負荷は脊椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折のリスクを避けながら、骨に必要な刺激を段階的に与えられるよう調節できます。ただし、脊椎の屈曲・回旋を伴う一部のエクサイズは禁忌になる場合があるため、必ず整形外科医の診断内容を指導者に伝えてください。

Q5. 週何回・何ヶ月で効果が出ますか?

A. 週1回のペースで取り組んだ場合、3〜5回のレッスン後に「立ち上がりが楽になった」「歩くのが軽くなった感じがする」という変化を感じられる方が多いです。歩行能力・バランス機能の明確な向上には3〜6ヶ月(12〜25回程度)が目安です。週2回以上行えれば効果の定着はより早まります。継続することで「加齢とともに機能が下がる曲線」そのものを緩やかにする効果が期待できます。

Q6. 自宅でできるロコモ予防の運動はありますか?

A. 日本整形外科学会が推奨する「ロコトレ」として、①片脚立ち(左右1分ずつ、1日3回)と②スクワット(5〜6回×1日3回、膝がつま先を超えないよう注意)が基本として推奨されています。ただし、これらはあくまで補助的なケアです。動作パターンの修正・体幹深層筋の再活性化・固有受容感覚の向上は、スプリング負荷と専門家の指導があるマシンピラティスで行うことで、より根本的・持続的な効果が期待できます。

Q7. 大阪・兵庫・滋賀でロコモ予防のマシンピラティスを受けられますか?

A. Pilates Synergyは大阪(難波・福島・河内小阪・松原・泉大津)、兵庫(武庫之荘)、滋賀(彦根)の全スタジオでシニアの方のロコモ予防・運動機能維持に対応しています。柔道整復師の資格を持つ指導者が、現在の運動器の状態・既往症・整形外科での診断内容を確認しながら安全なプログラムをオーダーメイドでご提案します。「自分の脚で、自分の行きたい場所へ行き続ける」ための第一歩を、初回体験レッスン(50分)から始めてみてください。


まとめ

この記事では、ロコモティブシンドロームの定義・5段階の進行・サルコペニアや変形性関節症との連鎖メカニズム、そしてマシンピラティスによる根本的な予防アプローチについて解説しました。重要なポイントを以下にまとめます。

  • ロコモティブシンドロームとは骨・筋肉・関節などの運動器機能低下により移動能力が衰えた状態で、日本全国の推計該当者は約4,700万人——60歳以上の大多数が何らかの段階に達している
  • ロコモは5段階で進行し、ロコモ度1の早期段階での介入が最も効果が高く、要介護への移行を大幅に遅らせることができる
  • ロコモを加速させる主な要因は「①サルコペニア(筋量低下)」「②骨粗鬆症(骨密度低下)」「③変形性関節症(関節軟骨の摩耗)」の複合であり、これらは互いに悪循環を作る
  • ロコモ予防の最大の盲点は「筋力の量」ではなく「筋肉の使い方・動作パターン」であり、正しい動作パターンを取り戻すことが根本的アプローチ
  • マシンピラティスは「①低インパクト荷重刺激」「②固有受容感覚・反応性バランスの再教育」「③体幹深層筋と抗重力筋の神経筋コーディネーション」「④動作パターンの同時修正」という4要素に同時にアプローチできる、他にはない運動システム
  • Pilates Synergyの60〜70代の方向けアプローチは「フットワーク・ブリッジ・スタンディングサイドスプリット・レッグサークル・シーテッドスタンドアップ」の5段階で、安全第一・段階的に進める
  • 「自分の脚で歩き続ける」ことは諦める必要はない。ロコモは老化の結果ではなく、適切なアプローチで予防・改善できる問題

「転んでから」「歩けなくなってから」ではなく、「今のうちに」始めることが、自分らしい生活を守り続ける最大の投資です。

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免責事項:本記事は医療・治療行為の代替を目的とするものではありません。骨粗鬆症・変形性関節症・脊柱管狭窄症など運動器疾患の診断を受けている方、または人工関節置換術・骨切り術などの手術後の方は、運動を開始する前に必ず主治医の許可を得てください。強い痛み・しびれ・麻痺などの症状がある場合は整形外科を受診してください。

  • この記事を書いた人

杉 直樹

株式会社SPARX代表取締役。Pilates Synergy代表。柔道整復師。24歳で起業し、ピラティス指導歴は15年。今までに400名以上ピラティスインスラクターを輩出し、トレーナーオブザイヤー審査員特別賞受賞にも輝く。「身体に新たな可能性を」を理念にスタジオを経営している。JPSA認定ベーシックプロスピーカー。(一社)分子整合医学美容食育協会プロフェッショナルファスティングマイスター

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